広島大学心理学研究 Issue 10
published_at 2011-03-31

陶器職人における専門家アイデンティティの生成と継承I : 島袋常秀氏の人と仕事をめぐって <論文>

Generativity of professional identity in potters I : An analysis and some considerations on Prof. Tsunehide Shimabukuro's life and professional works
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Abstract
本研究は、Professionの生成と継承に関する第一研究として、Erikson(1950)の精神分析的個体発達分化の図式を理論的基礎におき、陶器職人の専門家アイデンティティの生成と継承のプロセスと、それに関わる要因を分析した。沖縄県読谷壷屋焼の代表的な陶芸家である島袋常秀教授に対する個人面接から得られた語りの分析によって、氏の陶器職人としての専門家アイデンティティ形成の特質と熟達のプロセス、専門的職業レベルにおける心理社会的課題の体験のされ方を考察した。専門家アイデンティティは、基本的信頼感、自律性、自主性、勤勉性、アイデンティティ達成という乳幼児期からの心理社会的テーマが、専門的職業の次元で再度重要な意味をもち、それらを再達成することによって発達・深化していくことが示唆された。また、心理臨床家と職人のプロフェッショナル・ワークにおける共通の特質が見出された。
Keywords
専門家アイデンティティ
生成と継承
陶器職人