本研究は,大学生の学業場面における社会的比較と継時的比較の個人差を測定する尺度を作成し,構成概念妥当性,英語の成績や英語の授業に対する自己効力感との関連を検討した。その結果,学業場面における社会的比較は,他者遂行比較,他者思考比較,他者方法比較,他者失敗比較および他者態度比較の5因子構造であった。学業場面における継時的比較は,自己内学習比較と自己内遂行比較の2因子構造であった。学業場面における社会的比較尺度と継時的比較尺度はどちらも一定の構成概念妥当性が認められた。自己効力感の高群と低群で比較した結果,自己効力感の高群では,低群よりも他者遂行比較,他者思考比較,他者失敗比較,他者態度比較および自己内学習比較が有意に多かった。また,英語の成績の高群では,低群よりも他者遂行比較,他者思考比較,他者態度比較,自己内学習比較および自己内遂行比較が有意に多かった。これらの結果から,学業場面における社会的比較と継時的比較の有効性が示唆された。