広島大学心理学研究 Issue 11
published_at 2012-03-31

地域のがん患者会の援助機能に関する質的分析 <論文>

A qualitative study on supportive functions of a community-based self-help group for cancer survivors
Nakaoka Chiyuki
fulltext
1.18 MB
HPR_11_249.pdf
Abstract
本研究の目的は,がん患者が地域で運営しているがん患者会のコミュニティとしての心理社会的な援助機能を参加観察を通して明らかにすることである。がん患者会A会が主催した勉強会,啓発イベント,語り合いの会に参加し,参加者同士の会話,相互行為を記録し,参加者が患者会から得られた援助を質的・帰納的に概念化することを試みた。その結果,139のエピソードから29の概念が得られ,以下の10カテゴリーに分類された。「社会参加の場」,「情報交流の場」,「生活体験を共有する場」,「情緒的支え合いの場」,「知的勉強の場」,「人生について考える場」,「社会資源との連携」,「学術交流」,「地域活動」,「提案」。これらの結果をもとに,地域社会におけるがん患者会の援助機能の特徴,とくに心のケアに果たす役割について考察した。
Keywords
がん患者会
セルフヘルプ・グループ
援助機能
質的分析