広島大学心理学研究 9 号
2010-03-31 発行

ケータイ小説の書式が読みやすさと印象形成に及ぼす影響 <論文>

How does the format of the mobby novel influence the text comprehension?
國田 祥子
全文
3.69 MB
HPR_9_27.pdf
Abstract
携帯電話のディスプレイ上で読まれている, いわゆるケータイ小説の書式は, 改行が多く, センテンスが短めであるといった特徴があり, 一般的な小説の書式と大きく異なっている。このような書式の特徴は, 携帯電話のディスプレイで文章を読みやすくするために経験的に編み出されたと言われている。しかし, 実際にその書式が読み手に対してどのような効果を持っているのかは調べられていない。本研究では, 携帯電話のディスプレイと紙面において, ケータイ小説を模した書式(ケータイ書式)と一般的な書式(一般書式)で小説を呈示し, 読み時間測定, 読みやすさ評定, 文章の印象評定を行った。その結果, 携帯電話で読んだ場合はケータイ書式の方が読み時間が短く, 読みやすいと評定されたが, 紙面で読んだ場合は差が見られなかった。また印象評定の結果から, 携帯電話で読んだ場合はケータイ書式の方がやわらかく積極的で活発, もしくは明るく派手な印象を与えるのに対し, 紙面で読んだ場合はケータイ書式の方が消極的で静かで不活発で地味な印象を与えることが見いだされた。以上の結果から, ケータイ書式は携帯電話での文章呈示における工夫として有効であることが示された。
著者キーワード
携帯電話
書式
文章読解
ケータイ小説