広島大学心理学研究 9 号
2010-03-31 発行

虚偽説得に及ぼす虚偽説得者の意図に関する事前警告の効果 <論文>

Effects of the forewarnings regarding persuader's intent on deceptive persuasion
石井 里絵
塚脇 涼太
全文
8.67 MB
HPR_9_81.pdf
Abstract
虚偽説得者の意図に関する事前警告が虚偽説得に及ぼす抑制効果を検討した。事前警告情報として説得者の説得意図(PI)、虚偽意図(DI)、情緒喚起意図(EI)を単一であるいは結合して使用した。独立変数は、事前警告(PI単一タイプ、DI単一タイプ、EI単一タイプ、PI・DI結合タイプ、PI・EI結合タイプ、DI・EI結合タイプ、PI・DI・EI結合タイプ、無事前警告)と実験参加者の性(男性、女性)の8×2の実験参加者間計画であった。事前警告操作の後、ハガキによる架空請求(虚偽説得メッセージ)を読ませ、従属変数を測定した。その結果、DI単一タイプとPI・DI結合タイプの事前警告が振込行動意思を抑制する効果をもつこと、すなわち、DI単一タイプとPI・DI結合タイプの事前警告が虚偽説得に対する抑制効果をもつことが実証された。そして、その効果の生起過程の検討から、DI単一タイプとPI・DI結合タイプの事前警告は、不安・動揺とメッセージ評価を低減することによって、振込行動意思を抑制することが解明された。
著者キーワード
虚偽説得
架空請求
事前警告
虚偽意図