広島大学心理学研究 9 号
2010-03-31 発行

無関連な視覚刺激の呈示が視覚イメージの鮮明度に及ぼす影響 <論文>

The effect of irrelevant visual stimuli on vividness of visual imagery
髙村 真広
全文
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Abstract
われわれの視覚イメージ体験に第一次視覚野がどのように関与しているかは, 視覚意識研究における重要な問題である。本研究は, 無関連視覚刺激が意識的イメージ体験に及ぼす干渉が空間依存性をもつか否かを調べることでこの問題を検討した。実験では, 成人参加者がモニタに呈示される図形の視覚イメージを形成した。その保持中にチェッカー刺激を(a)イメージと重なる中心呈示, (b)イメージと重ならない周辺呈示, (c)呈示なし, の3条件で呈示した。その結果, 参加者が報告した中心呈示条件の鮮明度は, 呈示なし条件よりも有意に低かった。したがって, チェッカー刺激の呈示が意識的なイメージ体験に干渉効果を持つことが示された。周辺呈示条件の鮮明度は中心呈示条件と呈示なし条件の中間であった。両条件との差が有意でなかったことから, 干渉効果の空間依存性については明確な結論が得られなかった。無関連視覚刺激としてチェッカー刺激を使うことの有効性と, 干渉効果の空間依存性についてさらに検討するための方法について考察した。
著者キーワード
視覚イメージ
視覚バッファ
鮮明度
第一次視覚野