本研究は大学生を対象として, キレ衝動抑制方略の効果および"キレる"という現象に関する実態を明らかにすることを目的とした。353名を対象とした質問紙調査の結果, キレることの抑制には, 「キレてはいけない, と自分に言い聞かせた」などの思考を変化させる『思考変化』方略が有効であり, 「キレそうになった相手に, 言いたいことを素直に言った」などの自分の気持ちを相手に伝える『自己主張』方略は逆効果であることが示され, キレることを抑制するために使用すべき適切な方略が解明された。また, "キレる"という現象は, 青年期前期および中期と同様に, 青年期後期においても身近な経験であったことから, キレることの抑制に関する有効な知見を得るためには成人期以降の実態調査を行う必要があることが示唆された。しかし同時に, 本研究の知見が青年期前期および中期にも適用可能であり, 青年期における"キレる"という現象に関する実態を調査する際には, 比較的調査コストの軽い青年期後期を対象とすることも可能であることが示された。