精緻化された集合的防護動機モデル(塚脇・深田・樋口・蔵永・濱田, 2010)とは, 集合的防護動機モデルが仮定する8つの認知変数が時系列的影響関係を持ちながら, 最終変数である環境配慮行動意思を規定するというモデルである。本研究では, 最終変数を環境配慮行動意思から環境配慮行動状態へ置き換えた場合であっても, 精緻化された集合的防護動機モデルが適用可能であるのか, すなわち, 精緻化された集合的防護動機モデルの適用可能性を探ることを目的とした。大学生を調査対象とした質問紙調査を実施し, 298名から有効回答を得た。最終変数を環境配慮行動状態とする精緻化された集合的防護動機モデルを, 構造方程式モデリングによって検討した結果, 高い適合度が示された。すなわち, 精緻化された集合的防護動機モデルは, 行動意思のみならず, 行動レベルにおいても適用可能であることが実証された。また, 環境配慮行動状態に対して, 実行能力認知と実行者割合認知が最も顕著な正の直接効果を示し, コスト認知が次に顕著な負の直接効果を示すことが解明された。