認知カウンセリングを通して, 小学6年生の女児を対象とした算数の個別学習援助を行った。クライアントのAは, 自己効力感や学習意欲にはそれほど問題がなかったものの, 以前習得した解き方を解答時に思い出せずに苦戦していた。この問題は, そもそも学習内容の理解が不充分であるため, 解き方を概念と関連づけることができず精緻化できないため, 覚えるべき内容を長期記憶に貯蔵できていないことによるものと考えられる。そこで, 今回の学習援助は, 解き方に繋がる内容理解の促進と, 解き方を覚えておくための学習方略の習得を目的として行った。内容理解のポイントとなる部分を探してノートにまとめる, 必要に応じてポイントをまとめたノートを見返しながら問題を解く, といった学習方略を呈示し, クライアントに習得させた。その結果, 最終テストでは初回テストと比較して大幅に正答率が上昇していた。このことから, 今回のクライアントに対しては, 学習方略の習得を促すという援助が有効に働き, 覚えるべき内容に対する精緻化リハーサルを自ら行うことができるようになり, 記憶することができるようになったことが示唆された。