本研究は,教育実習生の現状を調査し分析することを通して,教育実習における効果的な指導のための知見を得ることを目的としている。教育実習生に対して数学的活動の認識に関するアンケート調査を行い,提出された学習指導案とともに分析することによって,教育実習生が授業を構成する際の困難性について,特に数学的活動の位置付けに焦点を当てて考察を行った。数学学習における数学的活動の意義や現代の社会において求められる教員養成の役割に照らしてみるとき,教育実習においては次のような指導が効果的であることが示唆された。
①授業の中で位置づけることが可能な数学的活動のタイプを特定させること
②数学的活動との関わりで学習者の反応を捉えさせること
③授業の中の情報共有の場面に意味を持たせること
④教育実習生同士での議論を活性化させること