本稿では, 模型空間での対象の再定位における, 模型空間以外の基準の利用ならびに模型空間を基準とする際の幾何学性の理解を検討するため多田・杉村(2009)の再分析を試みた。その結果, 自己, 周辺環境といった基準も対象を再定位する際に利用されており, 年齢によって主に利用される基準に違いがあることが示唆された。また, 模型空間に備わった幾何学性はさほど厳密に把握されているわけではない可能性が窺われた。しかし, それと同時に, 従来の再定位課題にはこれらの点を検討するうえで大きな問題があることが明確になり, その改善方法が提案された。