本研究は, エスティーム・エンハンスメント理論に基づき, ソーシャルサポートの提供者であるという知覚をもつことが, 自尊感情や, コーピングの積極性, 知覚されたサポート量および精神的健康状態に及ぼす影響について検討するため, 大学生を対象に, 2回にわたる縦断的調査を実施した。分析の結果, T1時点においてサポート提供者であった者は, サポート受領者や低群に比べてT2時点における自尊感情が高かった。しかし, 自尊感情以外の指標には統計的に有意な差が認められなかった。本研究の結果より, サポート提供者だと知覚できる方法を開発することによって, 3ヶ月という比較的短期間で大学生の自尊感情を高めることができる可能性が示唆された。