広島大学心理学研究 8 号
2009-03-31 発行

大学生の親に対する態度・行動とアイデンティティ, 対人態度の関連性 <論文>

The relationship among behavior for their parents, identity and interpersonal attitude in university students
山本 彩留子
全文
1.4 MB
HPR_8_107.pdf
Abstract
本研究では親子関係の多様化を考える上での一つの手がかりを見出すため, 大学生の親に対する態度・行動とアイデンティティ, 対人態度の関連性を分析し, その性差を検討することを目的とした。対象者は大学生180名であり, 使用尺度は小高(1999)の親-青年関係尺度, 高井(1999)の対人関係性尺度, 谷(2001)の多次元自我同一性尺度(MEIS)を用いた。尺度の因子間での関連を男女別に検討した結果, 父親-男子関係と「対自的同一性」, 母親-女子関係は「閉鎖性・防衛性」に, 父親-女子関係は「閉鎖性・防衛性」, に影響していることが明らかになった。また, MEISと対人関係性尺度の下位項目間には強い相関があり, 影響していることも示された。これらの結果から, アイデンティティは親子関係よりもむしろ対人関係に影響を受けることが明らかになった。また, 男子は父親に対する依存的同一性, 女子は母親との強い結びつきが推測される結果が得られた。
著者キーワード
青年期
親子関係
アイデンティティ
対人態度