本研究は,進路選択のプロセスの一部である情報収集行動に焦点をあて,情報収集行動に及ぼす進路選択に対する自己効力と職業的アイデンティティの影響力を検討することを目的とした.質問紙調査を実施し,民間企業への就職を希望する大学3年生149人のデータを分析した.その結果,職業的アイデンティティの特性の一つである目標・目的が確立しているほど,会社等からの正式な情報の活用が活発化し,反面,職業的アイデンティティの特性の一つである有能感が高まるほど,会社等からの正式な情報の活用が抑えられることが明らかになった.また,進路選択に対する自己効力が高まるほど,友人等からの身近な情報や目上の人からの情報の活用が活発化することが明らかとなった.