本研究の目的は,(1)大学生世代とその親世代で,羞恥感情の程度が領域によって異なるかどうか,(2)大学生世代とその親世代は,それぞれ自分の羞恥感情と異世代の羞恥感情との問に,どの程度世代間格差を感じているか,(3)羞恥感情の異世代イメージは,各世代の実際の羞恥感情とギャップがあるかどうかについて検討することであった.大学生217名とその親115名を対象に,羞恥の場面として「家族」「恋愛・性・結婚」「生き方」「仕事・勉強」「金銭」「友人関係」「身体・外見」「習慣」「性役割」「礼儀・教養」の10領域を質問紙によって塁示し,そのとき感じるであろう自分の羞恥の程度と異世代が感じるであろう羞恥の程度について回答させた.その結果,親が大学生より強い羞恥を感じるのは「金銭」「身体・外見」「生き方」「習慣」「性役割」の5領域であったが,大学生が親より強い羞恥を感じるのは「家族」のみであった.また,大学生と親の各世代は,羞恥感情に世代間格差があると感じており,しかもその格差感には過大評価やバイアスが含まれていることが示された.