ここ数年,学校の授業がつまらないと感じている子どもが増えており,算数・数学や理科に「勉強離れ」の現象が,顕著に見られるようになってきた.そこで, 小学生全学年を対象に質問紙による調査を実施し,算数の好き嫌いや意欲の変化と,それに関連すると思われる要因について検討した.その結果,児童が算数の学習について持っている意識を,「意欲・好感度」,「理解度」,「肯定的算数観」,「教師援助」,「競争的算数観」の5つの因子に分類できた.意欲・好感度とは.算数の好き嫌いや意欲を表す因子であり,これは小学校3年生までは比較的安定して高いが,4年生の頃から低下が始まり,6年生になると著しく低下した.また,意欲・好感度に大きな影響を与える因子が,理解度と肯定的算数観であることが明らかになった.子どもたちが算数を学ぶことに意義を見い出し,高い学習意欲を保持するには,学んだことが理解できると同程度に,算数についての学習観が強く関係していると言える.