本研究は, 内的表象と外的表象とに分散するワーキングメモリ資源が問題解決に及ぼす影響について, 外的表象とワーキングメモリ容量個人差の点から検討した。領域に依存しない実験課題として, 難易度の異なる数当てゲーム(3桁版, 4桁版)を用意し, 外的表象としてゲーム履歴を取り上げた。大学生20名の実験参加者は, リスニングスパン・テストによって高スパン群とスパン群に分けられ, 3桁版, 4桁版の数当てゲームを各10ゲーム, ゲーム履歴を参照可能な条件と参照できない条件で行った。実験の結果, ゲーム履歴, ワーキングメモリ容量個人差ともに, 問題解決パフォーマンスには影響しなかった。一方, 問題解決プロセスにおいては, 低スパン群は高スパン群に比べより多くゲーム履歴を利用していた。以上の結果に基づき, 問題解決における分散ワーキングメモリ資源としての外的表象とワーキングメモリ容量個人差について考察した。