本研究では,一般青年における摂食障害傾向の広がりをうけ,青年期の男女に対して摂食障害傾向のスクリーニング・テストを行い,青年における摂食障害傾向の実態について考察した上で,拒食と過食における心理的意味と摂食障害傾向との関連を,質問項目とSCTによる調査によって検討した。調査は男女大学生457名を対象に行われた。その結果,摂食障害傾向が高いほど,拒食には「自己の向上」という意味が,過食には「現実の苦痛からの解放」という意味が多く与えられていることが示された。 また,一般青年において,拒食や過食には,自尊心の獲得や不安への対処という意味が与えられている一方で,摂食障害傾向の高い一群では,それらの意味や目的とのつながりが意識されず,拒食や過食という行為そのものに巻き込まれた心理状態も体験されていることが示唆された。