広島大学心理学研究 6 号
2007-03-30 発行

書字抑制が音韻類似性効果と語長効果に及ぼす影響

Influence of the concurrent writing task on phonological similarity and word length effects
小林 ゆかり
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Abstract
ワーキングメモリの音韻ループ研究において,言語リストの再生を妨害する二次課 題として,構音抑制が広く用いられている。本研究は,構音ではなく,書字が言語リストの系列再生に及ぼす影響を検討することを目的とした。実験1では,記銘材料を 視覚呈示する課題で,構音抑制と書字抑制が音韻類似性効果に及ぼす影響を比較した。 実験2では,記銘材料を聴覚呈示して,同様の検討を行った。その結果,視覚呈示,聴覚呈示ともに,書字抑制は構音抑制と同様の影響を音韻類似性効果に及ぼした。実験3では,記銘材料を聴覚呈示した時の語長効果に及ぼす影響を比較した。その結果、構音課題が十分な抑制効果を示さず,構音抑制と書字抑制が語長効果へ及ぼす影響を 適切に比較することができなかった。書字抑制は,音韻類似性効果に及ぼす影響に関しては,構音抑制と同じ妨害効果を持つことが確認できたが,語長効果に及ぼす影響については,今後さらに検討する必要がある。
著者キーワード
書字抑制
構音抑制
音韻類似性効果
語長効果
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