本研究では,大学生163名を対象に自尊心尺度と時間的信念尺度を実施した。先行研究に基づいて自尊心の3つの下位尺度(身体,学業,家族)が時間的信念の2つの下位尺度(将来主義,現在主義)に影響するというモデルを仮定し,共分散構造分析を使用して検討を行った。その結果,十分な適合度指標が得られ,学業領域と家族領域の自尊心が将来主義に対して有意な正の影響を,身体領域の自尊心が現在主義に対して有意な負の影響を及ぼしていた。これらの結果は,自尊心の異なる領域が大学生の将来主義と現在主義に関連することを示唆する。