本研究では,幼児の社会的適応と関連する要因の1つとして,幼児が示す攻撃のタ イプ(挑発的攻撃,報復的攻撃,制裁としての攻撃)に着日し,幼児が実際に仲間から受ける評価との関連を検討した。保育園の異年齢クラスを対象とした攻撃タイプと社会的適応に関する3回の調査結果を,とりわけ調査時期と評価者及び被評価者の性別による違いに焦点を当てて検討した。結果として,挑発的攻撃及び報復的攻撃を示すことが,男児の同性仲間集団における不適応の一因となっている可能性が示唆された。他方,女児においては,挑発的攻撃及び報復的攻撃を示すことと社会的適応との 関連は男児ほど明確ではなかった。女児は,仲間を評価する上で,男児ほど挑発的攻撃及び報復的攻撃をネガティプに評価しなかった。また,制裁としての攻撃は,評価者及び被評価者の性別にかかわらず,総じて,仲間からのポジティブな評価と関連した。攻撃性と社会的適応との関連は,攻撃性の質的相違,評価者及び被評価者の性別によって異なることが示された。