広島大学心理学研究 4 号
2005-03-28 発行

説得に及ぼすユーモアの効果とその生起機制

The effect of humor on persuasion and its mechanism
川森 大典
高本 雪子
全文
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Abstract
本研究は,説得に及ばすユーモアの効果とその生起機制を,ユーモアの種類別に明らかにすることを目的とした.ユーモアの種実利ま,攻撃的ユーモアと遊戯的ユーモアの2柁類を使用し,最終変数として態度を測定した.また媒介変数として,受け手の気分,受け手の評価,メッセージ評価,受け手の思考,メッセージ理解,心理的リアクタンスを,調整要因として自我関与を取り上げた.攻撃的ユーモア条件と遊戯的ユーモア条件の2つの実験条件と,統制条件の3条件を設け,事後測定計画の実験を行った.その結果,条件問で受け手の肯定的気分,受け手の否定的思考に有意差がみられ,受け手の肯定的気分は,2つの実験条件が統制条件より有意に高く,否定的思考は,攻撃的ユーモア条件が遊戯的ユーモア条件より有意に高かった.しかし態度においては,条件差はみられなかった.また,生起機制を検討した結果,遊戯的ユーモアが肯定的気分および肯定的思考を介して説得を促進することが確認された.また,自我関与が高いほど説得が促進され,調整要因として働くことも示唆された.しかし,説得に及ぼす攻撃的ユーモアの効果は確認されなかった.
著者キーワード
攻撃的ユーモア
遊戯的ユーモア
説得
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