木研究では,以下の3点について検討した.(1)同性の友人に対する自己表明に性差があるか否か.(2)対象者の性別と友人の性別の組み合わせによって自己表明や他者の表明を望む気持ちに違いがみられるか否か.(3)本研究における大学生が先行研究における中学生や高校生よりも,同性の友人に対する自己表明や他者の表明を望む気持ちを高く示す傾向にあるか否か.分析の結果,次のことが明らかになった.(l)男子は女子よりも「意見の表明」や「不満・要求の表明」を行うのに対して,女子は男子よりも「嬉しさや辛さの表明」を行う傾向にあった.(2)自己表明の「嬉しさや辛さの表明」,「意見の表明」,「不満・要求の表明」では,同性の友人に対する得点が異性の友人に対する得点よりも有意に高かった.また,他者の表明を望む気持ちでは,4つの下位尺度のいずれにおいても,友人の性別に関わらず女子が男子よりも高い得点を示した.(3)大学生は中学生や高校生よりも,同性の友人に対して,自己表明の「嬉しさや辛さの表明」や「意見の表明」,他者の表明を望む気持ちを高く示す傾向にあった.