広島大学心理学研究 13 号
2014-03-31 発行

死を通して生を考える試みにおける小グループディスカッションの有効性の検討 <論文>

A study of validity of small group discussion in experiments on consideration through death <Article>
西山 美聡
全文
1.03 MB
HPR_13_151.pdf
Abstract
本研究では「自分の人生により能動的な姿勢を示すようになること」,「他者との関わりの大切さを見出し,積極的な関わりを志向するようになること」を目標とし,デス・エデュケーションの教授方法としての小グループディスカッションと,その準備段階としての記述課題の有効性について検討した。研究Iでは,生き方尺度(板津,1992)を用い,小グループディスカッションと記述課題の有無が参加者に与える教育効果の量的な測定を試みたが,この尺度からそれらの教育効果を明らかにすることはできなかった。研究Ⅱではディスカッションを経て生き方に関する参加者の意見がどう変化するかを検討した。結果として,ディスカッションは能動的な生き方,人間関係を大切にする生き方の志向を促進し,本研究の2つの目標の達成に有効であることが確認された。この成果は,ディスカッションの中で参加者が他者の意見を知り,自分の意見を再吟味し,広がりと深みのある意見を持つに至ること,死を自分向身の問題として扱うことができるようなることから得られたものであった。また,記述課題はディスカッション前に参加者の意見を明確にし,活発な議論を可能とする点で有効であった。
著者キーワード
デス・エデュケーション
小グループディスカッション
記述課題