本論文は,奇異なイメージや文のほうが,ごくー般的で普通なイメージや文より記憶成績が良いという奇異性効果研究についての文献的検討である。奇異性効果は,文やイメージを用いた実験において古くから報告されており,頑健に得られる効果である。しかし,奇異性効果が生じるメカニズムについては諸説あり,現在も論争が続いている。本論文では、奇異性効果の生じる条件,および,奇異性効果をもたらすクリティカルな処理段階が符号化段階か検索段階かという論争を中心に,奇異性効果研究の動向について述べた。奇異性効果の定義や他の効果との境界については暖昧な部分もあるため,最後に,さまざまな刺激を用いた奇異性効果研究や他の類似した効果の研究についても触れている。