制裁としての攻撃が正当であるか否かという問題は,相反する主張や見解が認められる,一種の道徳的ジレンマである。近年の実験的研究から,制裁としての攻撃の正当化は幼児期から見られることが明らかにされている。また,制裁としての攻撃が有する基本的な社会的機能について,幼児が理解を示す可能性も示唆されている。しかしながら,制裁としての攻撃に関する幼児一人ひとりの認識は多様であると考えられる。本研究では,幼児の認識を質的に検討することを目的として,幼児とともに,制裁としての攻撃に関する社会・道徳的な話し合いを行った。