本研究は,複数リーダーが発揮する集団内・集団間リーダーシップ機能の集団へ及ぼす効果と,集団内・集団間リーダーシップ機能を発揮しやすい人のもつ個人特性を明らかにすることを目的とした.広島大学交響楽団に属する4つのパート(集団)の部員を対象に調査を実施し,パート(集団)ごとの有効回答者数は14~16名の計60名であった.リーダーシップ機能を因子分析した結果,集団内・集団間P機能,集団問丸′Ⅰ機能,集団内M機能の3因子が抽出された.これらと集団アイデンティティおよびモラールとの関係を分析した結果,3機能と集団アイデンティティとの問に正の関係性が示された.また,これらの機能を発揮しやすい人の特徴について検討した結果,集団内・集団問P機能は課題能力が高く,かつのんきで陽気な性格の人物によって遂行されやすいことが示された.集団内M機能はパート内の対人関係の良さが所属動機として強く働いており,かつ課題能力が比較的高く,のんきで陽気な性格の人物によって遂行されやすいことが示された.集団問M機能はパート内の対人関係の良さが所属動機として強く働いている人物によって遂行されやすいものであることが示された.