本研究では,異年齢集団における幼児の社会的適応に影響を及ぼす諸要因(月齢,語彙,社会的行動特徴;攻撃タイプ)について検討を行った.主な結果を以下に記す.女児では,月齢が低く語彙が不足している者ほど,社会的行動特徴に関して,仲間から社会的コンビタンスが不足しており,攻撃性が高いと評定され,社会的適応に関しても,仲間から拒否されやすく,受容されにくかった.一方,男児では,月齢の低い者は,社会的行動特徴に関して月齢の高い者との違いは認められなかったにもかかわらず,仲間から受容されにくかった.また,攻撃タイプに関して,男児では,月齢の高い者が報復的攻撃を示すことが多いが,必ずしも仲間拒否につながらないこと,制裁としての攻撃は,敵味方の多い男児の行動特徴である可能性が示唆された.一方,女児では,挑発的攻撃及び報復的攻撃が,幼く言語能力や社会的行動に未熟な面のある者に認められる攻撃タイプであるのに対して,制裁としての攻撃は,仲間から受容されている者に認められる攻撃タイプである可能性が示唆された.異年齢保育においては,低年齢児(特に女児)の社会的適応に配慮する必要がある.