幼児の異文化適応過程に関して基礎的な資料の集積が必要とされている.また,これまでの異文化適応に関する研究は,質的な研究が中心となっていた.こうした現状を踏まえ,本研究では,外国人幼児と日本人幼児との仲間関係に関して,数量的な指標を用いて分析を行うことを目的として時間見本法による観察データの分析を行った.日本の保育園に入園したモンゴル人幼児の自由遊び時間における行動が,時間の経過とともにどのように変化していくかについて,BOR(The Behavior Observational Record ;Segal,Montie,&Iverson,2000)を参考にして分析を行った.「遊び(どのような遊びに従事しているか)」「他児へのアプローチ(仲間に対して働きかけたか)」「他児からのアプローチ(仲間から働きかけられたか)」「発話(仲間に対して発話を行ったか)」の4側面についてデータを数量化し,異文化適応過程を,保育日誌に記載された質的データとの関連から検討した.