本論文は,日本人大学生が,社会的地位が違う相手に対して重要度の高いEメール文書を書く際の,実務的意識を高めることを目指した授業における,継続的なアクション・リサーチの報告をしようとするものである。選択英語科目を履修登録した教育学部生34名による学期初めの自己紹介やニーズ分析調査への回答に基づき,学習者中心の手法が用いられた。将来の職業において英語を使う確かな展望を持った学生にとって,フォーマルなメールを書くためのCMC(Computer Mediated Communication:コンピューターを介したコミュニケーション)スキルや実務能力の向上は,言語使用の正確性と等しく重要であると思われる。将来の職業において,より多くの日本人学生が英語力とEメール・コミュニケーション能力が必要とされるので,外国語授業の中でCMCスキルを取り入れるべきかをについて調査した。授業担当者による米国コンテキストにおける適切なEメール・ライティングの理解が,学生が卒業後に入る職場にも応用可能かどうかという点についても探求した。加えて,外国語である英語において,このようなCMC指導が有効であるかについて,指導後の評価活動と学生による事後課題や実際に送付されたEメールの本文などに基づいて吟味する。