一般の日本人大学生よりも,一般の中国人大学生の方が英語の学習動機が高いのだろうか。英語学習のハングリー精神を養うという点では,日本の英語教育制度よりも中国の英語教育制度の方が良いのだろうか。本論文はこの疑問に答えるべく両国の普通の大学生,すなわち英語専攻でない一般学部生を対象に調査を行った。動機の強さを測る方法にはいろいろあるが,今回は特にすべての大学生が無料でアクセスできる英語学習用ポッドキャストを聴いたことがあるかどうかという指標を調査した。両国の学生は類似点の多い大学に通っており,英語学習年数や学習経験も同程度である。
結果は,複数の視点から観て中国での英語学習におけるハングリー精神の方がむしろ低いかも知れないことが判明した。例えば,21% の非英語専攻の日本人学生は英語学習用ポッドキャストを聴いたことがあるが,本国在住の中国人学生のその使用率は3% に過ぎない。学生だけではなく中国の高校や大学の英語教員もポッドキャストのことをあまり知らないのが実状である。この論文の中では中国の英語教育システムに関するいくつかのほかの事実も指摘されている。