広島大学心理学研究 Issue 12
published_at 2013-03-31

大学生の日常生活における集合罪悪感と集団同一性の関連 <論文>

The relationship between collective guilt and the group identification among university students
Shiraishi Ayano
Higuchi Masataka
Kuranaga Hitomi
fulltext
971 KB
HPR_12_29.pdf
Abstract
内集団成員による外集団に損害を与える行為について, 自分が直接その行為に関わっていなくても自責の念や申し訳なさを感じることは日常生活の中で経験しうることである。自分自身の行為でなくても感じる罪悪感として, 集合罪悪感がある。本研究では大学生を対象に,日常生活の中で内集団成員が外集団に損害を与えたという状況を用いて集合罪悪感と集団同一性の関連について検討した。集団同一性には集団全体に対する同一性(Whole-group 同一性) と行為集団に対する同一性(Subgroup 同一性)があることが先行研究で指摘されているため,それぞれの同一性を測定した。先行研究と同様に, Whole-group 同一性とSubgroup 同一性が独立して集合罪悪感に影響を及ぼしていることが示された。また先行研究とは異なり,集団同一性から集合罪悪感,個人罪悪感についての影響を正当性認知が媒介するという結果は得られず, 個人の有責性認知が集合罪悪感への影響を媒介するという結果であった。
Keywords
集合罪悪感
集団同一性