本研究は,サークルテストで測定される時間的連関性概念に着目し,従来の研究で一貫していない抑うつに対する影響を,改めて検討した。また,抑うつについては,時間的連関性だけでなく,時間に対する意味づけが重要であると考え,時間的連関性と,時間に対する意味づけ的側面としての時間的展望体験の,抑うつに対する交互作用効果を検討した。結果より,時間的連関性と抑うつの関係は認められず,サークルテストにおける円の連関には必ずしもポジティブな意味づけが随伴しないことが示唆された。また,時間的連関性と時間的展望体験が及ぼす抑うつへの影響について特徴的な交互作用が認められ,意味づけの重要性が示唆された。以上を踏まえ,時間に対する意味づけ的側面を含んだ時間的連関性を扱う必要性のあることが議論された。