本研究では,岡本・石田(2009)が考案した「夢の自己分析サポートシート」 を名島(2003)の「能動的夢分析」の介入技法を援用して改良し,その臨床的有用性について検討した。研究1 では,改良を行ったサポートシートの実施難易度と得られた気づき,およびサポートシートへの記述にクライエント理解に役立つ情報が含まれるかについて検討した。そして,サポートシートは夢と現実との関連づけを容易にし,対人関係に関する気づきが得られやすいことと,クライエント理解に役立つ情報が得られるものであることが示された。研究2 では,サポートシートを用いることで,夢に対する「わけがわからない」という自我違和的な印象が軽減されることが示唆された。さらに,事例をもとにサポートシートを用いた夢の自己分析過程について検討したところ,サポートシートは夢の中の要素の中の連想を深め,夢と現実での体験とを関連づけた意味を見出すことを促すことが示唆された。