本研究の目的は,日本に在住する留学生が用いた交渉スタイルと日本人学生が用いた交渉スタイルを比較・分析し,その相違と理由を解明することである。日本のある大学で行われたこの究は,日本人学生,インドネシア人学生,ドイツ人学生を対象として実施された。彼らが国際経営学の授業で取り組んだシミュレーション・エクササイズから得られた会話データを計量的かつ質的に分析し,それぞれがどのようなコミュニケーション方略を用いたかを検証した。分析結果によれば,日本人学生とインドネシア人学生が,一定の協調性を表す協力的な交渉方略を用いたのに対し,ドイツ人学生は,理論的でタスクを重視した,より直接的な交渉方略を用いたことが明らかとなった。これらの対照的な交渉スタイルと方略に関する本研究は,異なる文化背景を持つ人がどのように異なる交渉方略を使用するかを示しており,グローバル化が加速される中,異文化コミュニケーションを円滑に進める為には,どのような交渉能力をいかに養うべきかについて一石を投じている。