本研究は,高齢者にとって死を考える上で重要となる他者との関係における死のイメージについて検討を行った。その結果,重要な他者が子どもの場合には,子どもに対して「役割を託す」「繋がりを感じる」関係性,死のイメージとして次の生への視点が見出され,子どもの中に自分の存在が内在化され,死を迎えた後にも重要な他者と繋がる感覚を有していることが示唆された。重要な他者が配偶者の場合には,「生きがい」「支えあう」関係性,死のイメージとして次の生への視点がみられた。重要な他者が親の場合には,親から託された「役割を引き受ける」関係性,肯定的な来世のイメージがみられた。重要な他者によって異なる関係性と死のイメージが存在することが示された。