広島大学心理学研究 Issue 12
published_at 2013-03-31

自然体験活動に参加した不登校児童・生徒の内的変容過程 : 継続参加児のバウムテストの分析 <論文>

A continual analysis of baum-tests by school refusal students joined in a nature activities program
Okuda Satomi
Ogata Aya
Koya Mayumi
Kikuchi Yuri
Yamamoto Satoko
Miyazaki Ayumi
fulltext
1.35 MB
HPR_12_71.pdf
Abstract
本研究は,自然体験活動プログラムに参加した不登校児童・生徒を対象にバウムテストを実施し,その内的体験と変化のプロセスを検討した。特にプログラムに継続参加した児童・生徒の時系列に沿ったバウムの変化を分析し,自然体験活動が自我の発達に及ぼす影響について考察した。対象児のバウムの特徴から,不登校児童・生徒が,年齢よりもかなり①自我の発達が未熟であること,②活力が乏しいこと,③自我が不安定であることが推察された。また,バウムテストを継続実施した7 事例の時系列にそった変化を分析した結果,変化の方向性は必ずしも一定ではなく,ポジティブな特徴が増大した事例,逆に縮小した事例,変化が微細な事例などが存在した。また,思春期特有のテーマが見出された事例も存在した。本研究から,不登校児童・生徒に関して,一般的な心理的発達基準ではなく,それぞれの心理的発達に沿ったサポートやケアが必要であることが示唆された。また,そのためのアセスメントのツールとして,バウムテストが有効であることが示唆された。
Keywords
不登校
自然体験活動
内的体験過程
バウムテスト