研究の目的は,小学校低学年の図形領域の指導に焦点を絞り,伴って変わる二つの数量を関係づけて調べる必要性がある教材を開発し,きまりに着目したり表現したりするための手立てを講じていくことが,図形の性質への理解を深め,事象間の関係を見いだしたり活用したりしようとする態度の育成に効果があるかを考察することである。授業の映像記録や授業後に子どもに対して行った質問紙調査の回答を分析した結果,様々な場面に潜んでいる数量の中から依存関係にある二つの数量に着目し,主体的に関係づけながら見ていこうとする態度の高まりが明らかになった。また,教具を工夫し,目的意識をもって数量を関係付ける場面を積極的に取り入れることは,子ども自らが規則性を見いだすことにつながり,図形の性質の理解を深める効果があるという示唆を得ることができた。