学部・附属学校共同研究紀要 39 号
2011-03-24 発行

創造性を育む理科の授業(3)

A study of science teaching to develop student's creative skills
鳥越 兼治
有田 正志
小川 麻貴
白神 聖也
全文
2.09 MB
AnnEducRes_39_279.pdf
Abstract
本研究では, 児童・生徒が創造性を育むことのできる理科学習の実現を目指して, 2008年度より教材開発と教育実践を行っている。今年度, 小学校の実践では, 「ヒトの体のしくみ」を取り上げ, 児童同士の相互作用の場を組織化することで科学的な概念の形成をはかる授業を展開した。中学校の実践では, 新学習指導要領において再び取り扱うことになった「電力・電力量」と新設された最終項目「自然環境の保全と科学技術の利用」を結びつけ探究活動を設定した。テーマに対する主張を作成するために必要となる論拠を得るための活動を行った。高等学校の実践では「酸化と還元」を取り上げ, 既習知識を活用し, 仮説を設定し実験によって確かめるといった探究的な活動を展開した。中学校及び高等学校の実践には「協同学習」の手法を取り入れた。いずれの実践においても, 観察・実験方法の計画, 結果の予測, 結果の分析や解釈, 表現など, 授業の様々な場面に「他者との差異の認識」, 「差異の表現」, 「差異の理解」を行う活動を取り入れ, 「言語活動」が活発に行われたことによって, 児童・生徒の思考が深まり, 「創造的である」と判断できる事例を得ることができた。