学部・附属学校共同研究紀要 39 号
2011-03-24 発行

高等学校社会系教科における批判的思考力を育成する授業開発の研究(I) : 公民科「倫理」の場合

A study on lesson plan to develop critical thinking skills of social studies of high school (I) : ethics
土肥 大次郎
全文
2.26 MB
AnnEducRes_39_285.pdf
Abstract
主体的に社会事象を考察し, 問題解決方法などを考えていくためには, 物事をより客観的に理解し, 把握することが求められる。そのために必要なスキルとして, 批判的思考力が挙げられる。そこで, 社会系教科を通じて論理的な探求法および推論の方法を習得し, それらの方法を適用する技術を身につけ, 批判的思考力を育成する授業を, 高等学校の社会系教科を事例に開発する。本稿では, 公民科「倫理」に関する授業開発を行う。

公民科「倫理」で主に扱われる先哲の思想を学ぶことは, 様々な人間観・世界観を学ぶということである。先哲の思想の背景にあるこの人間観・世界観につながる問いを投げかけることによって, 生徒自身が自らの人間観・世界観を構築することにもつながるとともに, 先哲の思想自体を相対化することもできる。この人間観などの条件を問い直すことは, 先哲の思想の根幹を問い直すことにつながるから, これはまさに批判的思考そのものだと考えられる。

このような立場で, 公民科「倫理」の授業構成について考察し, 学習指導案「親鸞 -信仰とは何かを考える-」を作成した。