学部・附属学校共同研究紀要 39 号
2011-03-24 発行

小学校における国際理解の視点を取り入れたジェンダー教育の効果に関する研究

A research on the Efficacy of Gender Education with an International Understanding Perspective in Elementary School
林原 慎
全文
1.03 MB
AnnEducRes_39_249.pdf
Abstract
本研究は, ①2001年度と2009年度の児童・生徒に生活体験調査を比較し, 年度別及び男女別によって違いが見られるのかどうかを明らかにする。②それらの結果から得られる課題を受けて題材を開発し, 授業後の振り返りをもとに児童の変容を分析する。の2つを目的として実施した。調査の結果, 小学校6年生における2001年度(76名)と2009年度(75名)の比較では, 6項目の生活体験が有意に(P<0.05)低下していることが分かった。2009年度の中学校2年生(81名)の男女別による比較の結果では, 小学校6年生の結果を上回る14項目で, 男子(42名)が女子(39名)より有意に(P<0.05)低い数値が示された。そこで, 生活の中に存在するジェンダーの問題を中心に据えながらも, 国際理解の視点を取り入れることで, 児童の態度の変容を促し, 社会的な公正の実現をめざす持続発展教育の促進に貢献するような授業を開発, 実践した。授業後に実施した自由記述による振り返りを分析した結果, キーワードの結びつきの強さから, 家族にとって大切なものを「コミュニケーション」「家族みんな・全員」「協力」の3つを関連付けて捉えていることが分かった。