学部・附属学校共同研究紀要 39 号
2011-03-24 発行

音楽リテラシー育成のための基礎的研究(3) : サイレント・シンギングに着目して

Basic study for the development of music literacy (3) : Focusing on silent singing.
大橋 美代子
近藤 知美
福田 秀範
向井 さゆり
神野 正喜
松田 道枝
川村 恭子
全文
2.36 MB
AnnEducRes_39_147.pdf
Abstract
本研究は, 小学校の児童が, どの程度サイレント・シンギングの能力を有しているのかを明らかにすることを目的とした。サイレント・シンギングとは, 声を出さずに心のなかで歌う能力のことである。この能力は, 視唱力の育成に必須の力である。児童に「かえるの合唱」の5~6小節をサイレント・シンギングさせ, 録音した。2小節ごとの各フレーズの旋律線の正確さと, 各フレーズの開始音間の音程の正確さを分析したところ, 学年をおって, ほぼ着実に得点が上がることがわかった。しかし, 音楽の習い事経験の有無別に, 各フレーズの旋律線の正確さと, 各フレーズの開始音間の音程の正確さを比較したところ, 得点が上がっていたのは経験有群のみであり, 経験無群の得点はほぼ横ばい状態であって, 特に高学年では得点が上がっていないことが明らかとなった。