本研究では,他校種教職経験のある大学初任者教員の授業認識を検討することを目的とした。そのために,3名の大学初任者教員にインタビュー調査を実施し,PAC分析を用いて授業認識を検討した。その結果,他校種経験があっても,大学初任時は,はじめは授業の実践は困難であること,それまでに経験してきた校種と大学の授業対象者の年齢の近さや授業の仕組みの近さの程度によって,その困難さの度合いは異なること,はじめは大学授業の実施に戸惑い,これまでの経験との違いに不安を感じるものの,比較的短い時間で,授業実践の本質を掴み,学生にとって効果的な授業を展開する可能性が示された。