広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター研究紀要 12 号
2014-03 発行

知的障害のある自閉症児に対する視覚的補助刺激の有効な活用法 : 買い物場面における品物の所在を尋ねる行動の習得を通して <原著>

Effective Utilization of the Visual Prompts for a Student with Autism and an Intellectual Disability : An Acquisition of Mands for Instructions in the Shopping Situation <Original Article>
霜田 浩信
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CSNERP_12_49.pdf
Abstract
本研究は,中度知的障害のある自閉症生徒1名を対象に,買い物場面で社会的行動である品物を見つけられない時にその所在を店員に尋ねる行動の習得を目的とした指導を試みた。その際,視覚的補助刺激として買い物表を対象児に持たせ,下位行動項目を自己記録するよう指導し,視覚的補助刺激の機能的な使用について検討を行った。指導の結果,店員への接近行動の自発遂行数は増加したが,店員に尋ねる行動においては指導期間内での習得までには至らなかった。しかしながら,侵襲性の最も低い言語プロンプトで買い物表に記入された文字を読み,店員に尋ねる行動がみられるようになった。また,視覚的補助刺激への正確な自己記録の増加に伴い,指導初期において頻回であった指示確認行動が減少した。視覚的補助刺激における「次の行動」の弁別刺激としての機能とコミュニケーション行動への援助・誘導的な機能の同時獲得の可能性について考察した。
著者キーワード
自閉症
視覚的補助刺激
自己記録
社会的行動