本稿では,ドイツ語授業の拡張としての,インターネットを利用した自律学習について論じる。ヨーロッパ議会が2001年に公刊した学習レベルの基準に従えば,学習者が日常的な問題解決を行うことのできる最低限のレベルの到達に必要な学習時間数は最低約200時間である。しかし,大学における初習外国語としてのドイツ語の学習時間数は,週2回授業を受ける場合でもその2分の1以下しかない。したがって,インターネットを利用し授業外に安定した学習の場を提供することは,ドイツ語のような初習外国語の習得にとって決定的に重要な意味を持つ。本稿では,このような場の事例として,広島大学バーチャルユニバーシティ推進事業の中で筆者らが現在構築中のオンラインドイツ語講座を紹介するとともに,授業と自律学習を統合した学習環境を用意するe-Learning用ソフトWebCTの特徴と意義についても論じる。