音楽文化教育学研究紀要 Issue 14
published_at 2002-03-23

現代チベット音楽の変容と伝統回帰 : 中国領チベットにおける民族文化の独自性をめぐって

坪野 和子
増山 賢治
fulltext
1.23 MB
MusicCultEduc_14_57.pdf
Abstract
本研究は、チベットという一地域を通した人類の音楽の変化要因を明確化するための研究の一部である。人類の音楽文化は、地域の人的・自然的環境の変化を如実に表現している。それは、世界的な情報の発達をも伴って地球規模での変化をしている。現在、チベットというユーラシア大陸のほぼ中央に位置する高原一帯には、自然環境保全・民族紛争・宗教問題・科学技術と生活習慣の対峙という人類の長い歴史を持つ課題をすべて内包している。それは、かならずしも伝統との対立項目とは言えず、ある場合は融合・伝統回帰も観察される。
本稿は、中華人民共和国の領土となって後より今日に至るチベット音楽の状況を1952年以降5つの時期に分類し、考察した結果ならびに近年の研究動向の結果である。
Descriptions
本稿は坪野が1999/10/2(土)第426回東洋音楽学会定例研究会においてチベット音楽の今日的状況と題した研究報告をまとめ、さらにそれ以降3年の聞での変化と今日的研究動向の変化を加筆したものである。増山はそれにもとづき、中文文献の翻訳のチェックと検討を行ったものである。ふたりの討論から全文坪野が責任執筆した。
Keywords
民族離散
人的環境の変化
融合伝統回帰