本稿では, 経営の領域分類という観点からバランスト・スコアカード(以下BSCとする)の4つの視点について考察を加える。分類は分類される対象をコントロール, あるいは利用するための方法のひとつである。本稿においては, BSCにおける4つの視点という分類を他の分類と比較検討している。結論として, BSCの分類は, 経営領域を幅広くとらえたものであるとともに, 物語性1)を特徴として有し, マネジメントに有用であると考える。また, 新しい経営の領域分類として, 価値実現2)の結果の程度を評価する財務の視点, 価値が実現する領域である顧客の視点, そして価値実現の準備の状態である内部ビジネス・プロセスと学習と成長の視点の3分類を示した。この3分類によって価値実現を軸とした3つの視点の可能性を提示した。