本稿は, 地方公共団体が経営参加する第三セクター法人に注目し, フェニックスリゾート株式会社の第1期から第12期(1988年12月から2000年3月)を例にとり, 貸借対照表および損益計算書からキャッシュ・フロー計算書を間接法により作成し, キャッシュ・フロー分析を行う。そして, 同社の有形固定資産とキャッシュ・フロー産出能力に注目しながら, 効率性および有効性について検討する。その結果, 同社の設備投資が過大であり, 営業活動においてはキャッシュ・フローを産出しない一方で, 借入金によって事業を存続させていたことから, 経営悪化が進展するとともに, 地方公共団体が出資以外にも補助金を投入することになったことがわかった。このことから, 地方公共団体が第三セクター法人を設立または支援する際には, 当該法人のキャッシュ・フロー分析を実施し, 適切な設備投資をするべきであり, 経営改善が見込めないことが判明した場合には, 補助金を交付すべきではなく, 早期に倒産処理を模索するべきであることを論じる。