本研究は、携帯電話と携帯メールを用いたコミュニケーションに及ぼす利用者の性と性役割(男性性、女性性、中性性)の効果を検討することであった。大学生162名を対象に質問紙調査を実施し、131名から有効回答を得た。調査対象者の性、男性性、女性性、中性性の4変数を説明変数とし、携帯電話と携帯メールに対する利用態度10変数、携帯電話と携帯メールの利用実態22変数、および携帯電話と携帯メールによる自己開示8変数の合計40変数を基準変数とする重回帰分析を行った。その結果、(1)利用態度に対する性と女性性の影響は大きいが、男性性と中性性の影響はない、(2)利用実態に対する性と女性性の影響は最も大きく、男性性の影響は次に大きく、中性性の影響は小さい、(3)自己開示に対する女性性の影響は極めて大きいが、性の影響は小さく、男性性と中性性の影響はない、ということが実証された。