本研究では,幼児の分配行動に及ぼす被分配者の努力・能力要因の影響を検討した。2名の被分配者に対する第三者的立場からの報酬分配について,低貢献者の努力と能力の要因を実験的に操作して検討を行った。その結果,第lに,報酬分配を行う上で幼児は努力要因を考慮し,低貢献者が努力をしていた場合には報酬を高貢献者と等しくする平等分配を行い,努力をしていなかった場合には報酬を少なくする(貢献度に応じた公平分配を行う)ことが示された。第2に,報酬分配を行う上で幼児は能力要因を考慮し,低貢献者が高能力であるにもかかわらず努力をしなかった場合には,低能力で努力をしなかった場合よりも,報酬を少なくすることが示された。幼児が,低貢献者の努力と能力とを考慮した上で,公正な分配を行う傾向にあることが示された。